久しぶりに、おすすめの本の紹介をしてみます。
今回は、「今、これで悩んでいました」に少し役立つかもしれない本です。
1. 読解力をつけたい!
著者 犬塚美輪(東京学芸大学准教授)

「読解力」とあるので、もちろん「読むこと」について書かれている本ですが、「学ぶとはどういうことか」が、認知心理学的なアプローチで説明してあります。
副題にもあるように、著者の犬塚先生は、「今の中学生・高校生が大人になって生きていくために必要な力」という観点から、読解力を取り上げていますが、読解力が、どの教科、ひいては、どんな学びにも必要なことは言うまでもありません。
中高生向けの本ですが、お子さんがまだ小さいご家庭の保護者の方にもぜひ読んでいただきたい内容です。
保護者の方が、読むとは何か、学ぶとは何をどうすることか、を分かっていれば、お子さんの学びをよりよくサポートできるにちがいないからです。
「読み」の仕組み
暗記と理解
忘れるとは?
読解力を上げるには?
など、みなさんが知りたいことが、科学的に解説されています。
会話形式の文体なので、読みやすいとも思います。
2.勉強法を知りたい!
著者 篠ケ谷 圭太(学習院大学文学部心理学科教授)
※書影掲載不可です。ウェブサイトでご確認を!
「予習と復習の勉強法」とありますが、いわゆるハウツー本ではありません。
こちらも、認知心理学に基づいた学習方法の解説です。
認知心理学は、まさに、私たちが物事をどう認知しているか、についての学問です。
認知とは、外界の情報をどう認知するのかにとどまらず、どう理解するのか、どう学習するのかという知的活動のことを指します。
「予習・復習が大事!」とよく言われますし、「予習」が宿題になっていたり、ノートを取ることも「復習」のためだったりしますよね。
ですが、その「予習」「復習」は、科学的に効果のあるものになっているでしょうか?
長時間勉強すればいい、たくさんの問題を解けばいいと思ってないでしょうか?
この本では、「学び方」に科学的にアプローチすることで、自分に合った学び方について考えることができます。
学習に欠かせないメタ認知や、モチベーションについての理解も深まります。
3.ゲームばかりしたがるけど大丈夫かな?
著者 関正樹(児童精神科医)
※書影掲載不可です。ウェブサイトでご確認を!
程度の差はあれ、YouTubeやゲームが好きなお子さんが多いのではないでしょうか?
子どもたちは当然デジタルネイティブですから、保護者の方、教師、支援者は、それをふまえたうえで、子どもたちとネットやゲームとの関係性を考える必要があるだろうと思います。
著者の関先生は、児童精神科でいらっしゃいますから、ネットやゲームが子どもたちの「生」に大きな意味を占めていることを、医学的・科学的に説明してくださっています。
ネットやゲームは本当に「悪いもの」なのか、エビデンスをふまえて考えることができます。
そしてまた、子どもにとっての「居場所」とはなにか、子どもが心身ともに健やかに生きるには何が必要なのか、子どもとの接し方や大人の役目を考えるきっかけにもなるでしょう。
関先生がこれまでに出会ってきたお子さんたちの具体的エピソードもあり、とても興味深く読めると思います。
4.「新書大賞2024」の大賞受賞作品
著者 今井むつみ/秋田喜美
※書影掲載不可です。ウェブサイトでご確認を!
こちらは少しアカデミックな内容かもしれませんが、人が言語を獲得していく過程の分析から、私たちはどうやって新しいことを学んでいくのかを深く知ることができます。
オノマトペを手がかりに、人が言葉を持つことの意味が解明されていく考察は、まず読みものとしてとてもおもしろいのですが、言葉を自分のものにすることや新しいことを学びとるには、地に足のついた、"生きた"、"本物の"体験、そして、自分の中に既に有るものとのつながり、これらが不可欠だということがよく分かります。
参考書を読むだけやただ丸暗記をすることは「学習」の本質ではなく、試験でも社会生活でも、使える知識にはならないのだなと、そう改めて思える本でした。
やや専門的ではありますが、人の知性の奥深さにワクワクしながら読める本です。
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他にもおすすめの本がありますが、今回は特に子どもとの関わり方につながる本をご紹介してみました。
夏休み前にお読みになれば、この夏のお子さんとの過ごし方がより充実したものになるかもしれません。
ルードにも置いてありますので、内容が気になる方は見にいらしてください。
(事前にご連絡いただけると助かります!)
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